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2017.6.21(水)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第58斬 「共謀罪と日本の未来」(2017年6月21日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第58斬 「共謀罪と日本の未来」

「恥を知れ!」
自由党・参議院議員の山本太郎氏の絶叫です。
先週、参議院にて「共謀罪」法が可決・成立しました。
参議院における審議時間はわずか17時間。
与党は多くの問題点が残されたまま、審議が打ち切り、
委員会採決も行わずに、強行採決するという暴挙。
山本太郎氏の絶叫は、チェック機能を果たせない、
参議院の現状をよく説明しています。

■過去3回も廃案になった「共謀罪」法案
廃案の経緯は、2015年11月20日の朝日新聞が明快です。
------------ 転載はじめ ------------
目くばせとまばたきの違いを述べよ。
2006年5月、国会でこう質問したのは、
当時の保坂展人(ほさか・のぶと)衆院議員だ。
法務省の局長は直接には答えず、
保坂氏が代わって説明した。
『目くばせは意思の伝達行為であり、サイン。
 まばたきは生理現象だ』
▽珍問答に見えるが、真面目な論戦である。
「共謀罪」の新設が焦点だった。
犯罪を実行しなくても、
相談して合意するだけで罪に問えるようにする法案だ。
会話による相談がなくても、
誰かが誰かに目くばせするだけでも共謀は成立しうる、
というのが法務省の見解だった。
▽先の局長はさらに、まばたきだけでも成立すると答えた為、
保坂氏に追及されることになった。
生理現象が共謀罪になるなら、
人類はみな共謀罪ではないかというわけだ。
人権侵害の危険性をよく表す攻防だった。
------------ 転載おわり ------------

■一般市民も処罰対象
国会冒頭で安倍首相は、
『処罰対象は犯罪を目的としている集団』と言いきった。
それにも関わらず、3週間後には説明が一転。
『犯罪集団に一変した、と捜査当局にみなされた団体』
つまり、権力側が「こいつ、邪魔。」と考えたら、
友人と居酒屋で飲んでいるだけでも、
また自宅に友人を招いただけでも、
いつでも逮捕される可能性が残るということです。

■三角ロジック
ディベートでは、
「主張する際、理由を述べる」必要があります。
その「理由付け」を強固な論証モデルとして、
発展させたものが「三角ロジック」です。
ビジネスで即通用する技術なので、
実際に例を挙げて説明します。
主張:日本政府に歯向かう国民は「共謀罪」で逮捕される
理由:権力者はあらゆる手段で権力を守るから
実例:文部科学省・前事務次官の前川喜平氏は、
   デマと侮辱(出会い系バー、辞任の経緯)で、
   人格破壊・名誉棄損を受けている
「主張」のみの論証、
「主張+理由」の論証、
「主張+理由+実例」の論証、を比べてください。
説得力の違いは明らかです。
「主張」を頂点(てっぺん)においた上向きの三角形を、
「理由」と「実例」が支えることから、
「三角ロジック」と呼ばれています。
「三角ロジック」の優れている点は、時間が許す限り、
類似の実例を重ねることができるという点です。
実例を重ねるポイントは、
過去・現在・未来という時系列や、
日本・外国という比較を意識すること。
前川氏の実例に、籠池氏の実例を重ねるのも良いですが、
日本で過去あった実例を重ねた方が効果的ということ。

■治安維持法による獄死
悪名高い「治安維持法」の現代版、
それが「共謀罪」と言われています
人生論ノートで有名な哲学者・三木清氏は、
「治安維持法」違反の容疑で、
太平洋戦争末期の1945年6月に逮捕・投獄。
同年9月に、48歳の若さで獄死しています。
三木氏が獄中に囚われたことを、
親しい友人ですら知らなかったそうです。
当時の拘禁制度の実態を現しています。
「三角ロジック」に落とし込むとこうなります。
主張:日本政府に歯向かう国民は「共謀罪」で逮捕される
理由:権力者はあらゆる手段で権力を守るから
実例:三木清氏の逮捕に「治安維持法」が使われている

■まとめ
安倍首相・菅義偉官房長官の答弁は、常に主張のみ。
理由・実例は一切ありません。
つまり、説得力の欠片もないということです。
「権力者はそういうものだ」とあきらめてしまうのは、
奴らの思うつぼ。
国民にできることは二つしかありません。
「権力の監視」と「選挙による応報」
過去の亡霊「共謀罪」を現代に蘇らせたのは、
自民・公明・維新ということを、
よく覚えておきましょう。

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