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2013.12.5.(木)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第9斬 日本の民主主義、どこが問題なの?~特定秘密保護法案~(2013年12月5日)

ほぼ月イチコラム そんなに急いで、どこへ行く…
コーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」 第9斬

今日のターゲットは「日本の民主主義、どこが問題なの?」。

皆様、こんにちは。

先月26日、特定秘密保護法案の修正案が衆院本会議で可決されました。
十分な議論が尽くされていない中での強行採決であるだけに、
『良識の府 参議院』における慎重な審理が期待されます。

安倍首相は特定秘密保護法案について、以下のように語っています。

「衆議院では40時間以上という大変長い時間をかけて熱心に議論した」

「この法案に対する国民の不安、懸念があることも承知している」

「これから参院の審議などを通じて、不安を払拭していくよう努めていきたい」

しかし、これらの発言は真意なのでしょうか?
本当に国民の不安は、参議院の審議を通じて払拭されるのでしょうか?

かつて、フランスの政治思想家アレクシス・ド・トクヴィルは、
自身の代表作である『アメリカの民主政治』の中で、
民主政治を『多数派による専制』と断じました。

長年続いた『ねじれ国会』が解消された矢先の強行採決。
衆議院と参議院で多数を占める与党は、年内にも、
参議院で、特定秘密保護法案を強行採決する意向を示しています。

多くの日本人は、民主党政権に嫌気がさし、先の衆議院選挙において、
斬新な経済政策『アベノミクス』を掲げた安倍政権を支持しました。

果たして民主的な選挙で支持された政党グループの専制を、
受け入れる覚悟ができていた日本人はどのぐらいいるのでしょうか?

社会学者・上野千鶴子さんはこのように述べています。

「情報公開は、民主主義の基本の「キ」。
この法案は、情報公開法があるのにそれを有名無実にしようとする権力の横暴。

ねじれを解消し政権与党の暴走を許したのは、国民にとっても痛恨事だ」

今こそ、『選挙行動』には常に『選択者責任』が付きまとうことを、
私を含め、日本国民は肝に銘じなければならないと思います。

一方、日本各地で特定秘密保護法案に反対するデモが相次いでいます。

自民党幹事長である石破氏は、自身のブログの中で、
相次ぐデモをさして、テロと混同するかのような発言をしました。

《主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、
支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。》

民主主義の根幹といっても過言ではない『言論の自由』を、
軽視・ないがしろにした石破発言は重い責任を免れません。

即座に訂正・謝罪をしていますが、実のところは、
石破発言こそが、与党の要職についている人間のホンネなのかもしれません。
であるとすると、冒頭の安倍首相の発言はホンネからは程遠いことになります。

漫画家・ちばてつやさんは以下のように述べています。

「政府が恣意的に情報を隠せる恐ろしい法案には絶対に反対だ。
 国民の意見を尊重し、国民が望むことを実行するのが政治家の役割のはず。
それなのに説明を尽くさず、慌ただしく法案を通そうとしている。」

戦前に生まれ、2歳で満州に渡った経歴をもつ、
ちばてつやさんの言葉だけに、非常に重いものがあります。

『情報公開』『説明責任』はまさに民主主義の根幹を形成する二つの柱。
特定秘密保護法案がこの重要な柱を壊さないのであれば良いのですが。。。

バーニングマインド・理事を務める太田龍樹は、
著書『話し方にもっと自信がつく100の法則(中経出版)』の中で、
「受けの美学」の重要性を説いています。

『相手を受け止めなければ、こちらの言い分は通らない』

多くのビジネスシーンで発生する、すれ違い。
相手を受け止めることでしか、そのギャップを埋めることはできません。

国民と政府の間に生じたミゾ。
普段は政治にあまり興味のない、消極的なはずの日本人が起こす反対デモ。

現在の政府に、国民の不安・懸念を真っ向から受け止める度量があるか、
が試されている局面と言えます。

長きに渡り、衆議院のカーボンコピーと揶揄され続けた参議院。
日本の民主主義の息の根を止める存在にならないことを切に祈ります。

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