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2014.6.19.(木)
第9回 「首都機能移転」(2014年6月19日)

ほぼ月イチコラム
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第9回


「ぼくトラのもん」というかわいらしいポスターとともに、6月11日に虎ノ門ヒルズがオープンしました。ビルの真下を環状線を通すという構想で、戦後長らく実現できなかった「マッカーサー道路」の開通と合わせてのオープンです。
森ビルは、「東京を世界一の都市にする」という創業者 森 泰吉郎の理念のもと、
アークヒルズ、六本木ヒルズ、表参道ヒルズと都市再生を続けてきました。

また、東京の湾岸部はいまも旺盛な開発が進んでいます。
東京はどこまで発展を続けるのでしょうか?

さて、本日のテーマは、
「首都機能移転」です。

東京都市大学 環境学部教授の涌井史郎氏によると、
「3.11を機にリンゴ型の国土構造から、もう1回ネットワークを重視したブドウ型の国土構造というものを再検討する機会ではないか。」
とされています。

つまり、リンゴのように中心に芯があり果肉を支えているという中央にすべてが集まった構造ではなく、ブドウのように各地方が独自に発達していく必要があるという意見です。これは、阪神・淡路大震災、東日本大震災、今後の起こりうるであろう巨大地震などの天災を考えた際にもリスクを分散しておくという考え方でもあります。

国土交通省のHPにおいても、移転の理由として、
1、国政全般の改革の促進
2、東京一極集中の是正
3、災害対応力の強化

と3つを上げています。

まさに、ブドウ型というのは言い得て妙でしょう。

一方で反対派には、「少子高齢化の時代に機能や人を分散させてしまっては都市の魅力がなくなってしまう。それは、日本の国際的な競争力を損なう。」という意見があります。
これは、「日本国内でどこがいいか?」という議論ではなく、日本の人口が減っていく中で、世界の中での魅力のある国にしていくためには東京に人、モノ、カネを集中させ、災害対策を強化していくことが大切という意見です。
いくつかの調査において、東京はロンドン、ニューヨーク、パリに次いで4大都市とされていますが、シンガポール、ソウル、香港などの猛追を受けているのも事実です。
2020年のオリンピック・パラリンピックもこの流れの中で大きな旗印になりそうです。
また、先の森ビルをはじめとする盛んな都市開発もこの主張を裏付けているように思います。

みなさんは、どちらの意見に説得力を感じるでしょうか。

では、ごきげんよう。

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