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2015.5.6.(水)
第22回 「日本の領土問題」(2015年5月6日)

ほぼ月イチコラム
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第22回
先の戦争の節目の年(70年)を迎え、
領土問題についても、激しいやり取りがなされています。
韓国軍が、今月下旬にも竹島で防衛訓練を行う計画なども報じられています。
この領土問題はどのように対処していくのが良いのでしょうか。
日本には主に、韓国との竹島、中国との尖閣諸島、ロシアとの北方領土という3つの領土問題があります。
それぞれ、状況は異なりますが、共通していることは、日本には日本の主張があり、相手の国にもそれなりの主張があります。
(日本では、あまり報道されませんが、韓国側にもそれなりに説得力のある主張があります)
これまで、領土問題は「歴史的正当性」と「実行支配」について様々な議論の応酬がなされていますが、問題を掘り起こせば起こすほど、両国のナショナリズムを必要に刺激していってしまい、問題はこじれ、関係は悪化しているように思われます。
ディベートにおいて重要なことは、物事を両面からみてその是非を資料を持って論証して行くことですが、現実は膠着状態、もしくは悪化しています。
竹島問題においては、歴史的正当性は日本がやや有利かとも思いますが、実行支配では韓国が有利です。
尖閣諸島の問題は、歴史的正当性、実効支配ともに日本が有利ですが、現在の中国の動きをみていると、日本の実行支配の優位性を保ち続けるには武力衝突のリスクが伴います
北方領土にいたっては、日本の歴史的正当性は明白ながらも、ロシアが実効支配を強化している状況です。
では、どのようにしていくのが良いのか。
ネオ・ディベートでのキャストライトアップを利用した、新たな視点(争点)が有効なのではと考えます。
既存の思考の枠組みを脱して、真に有効な手立てを模索するというものです。
歴史的正当性と実行支配という2つの視点を乗り越えた、より建設的な視点です。
例えば、「利用価値を高める」という視点を持ち込むことはできないでしょうか。
歴史認識などを複雑に議論をすることも重要ですが、より前向きな議論を提示していくことです。
竹島においては、日本と韓国が漁業を行いやすくすること。
尖閣においては、日本の技術と中国の資金を利用した、海底資源の共同開発を行うこと。北方領土では、再生可能エネルギーの共同開発を日本とロシアで進めること。
などです。
事実を事実として協議することは重要ですが、そのことが泥仕合になり関係の悪化にしかならないのであれば、前向きな話し合いの方がよっぽど有効です。
実現にはやはり相当な困難が伴うことが予想されますが、
本当の意味での政治力が試されている時だと感じます。
皆さんは、どう思われますか?

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