講評

講評

論題

BM漢祭り2004 予選第1試合
「日本の公立小中学校は小・中一貫教育にすべし」

講評:高澤拓志

肯定側:井上晋
否定側:奥山真
【試合結果】:肯定側勝利
ジャッジ総数11名
肯定側 54.92P(6票) 否定側 54.80P(5票)

■<総評>
反駁以降は、いじめ問題に終始した感がある。
それはEVENとし、 否定側のニューアーギュメントを減点 肯定側のメリット⑤が残った。
よって、肯定側がわずかに上回ったと判断した。
反駁以降が3分になり、お互い苦心した。
肯定側は、もっとメリットをコンパクトにまとめるべき。
否定側は、柱となる哲学がないのも、マイナスポイントにはならないが弱い部分。

以下に詳細をまとめた。

■<肯定側立論>
哲学に 「子供に合わせた教育制度」
プランとして、品川区での試行案と同じく9年間を4・3・2に分けた。最初の4年間を、学級担当による基礎基本の徹底。後半の5年間を、教科担当制とする。
それによるメリットは以下の通り。
子供にとってのメリットとして
① 長期的なスパンで学習できる
② 子供のからだの成長にあった指導ができる
③ ココロの改善。中学にあがると、環境の変化によりいじめが増える
④ 読み聞かせ学習による社会性

教員にとってのメリットとして
⑤ 幅広い子供に接することによって教育の質があがる
⑥ 校長が一人になることで、指示命令系統が一本化する

以上 6点のメリットをあげた。

■<否定側立論>
「論拠の薄い小中一貫は、メリットよりデメリットが上回る」ということを主眼においた。(これは、哲学とは呼べないと判断する)

デメリットとして、以下の2点をあげた
① メンタルヘルスの悪化
具体的には
・ 同じ環境(ネガティブな面)がずっと続く
・ 中だるみしやすくなる
・ 生徒のメンタルケアはしにくい
② 低年齢化 (受験競争)
私立へいくものが増える

一方、メリットへの攻撃としては
①と②は1つにまとめられるとした上で、相互交流により可能であるとしている。
③については、いじめ問題は学校だけではなく家庭や社会にも責任があるとしている。
④については、いい影響も悪い影響もあるので、打消し
⑥については、それがなぜメリットになるのかがわからないとしている
  (校長はいまでもひとり)
 → ⑥については肯定側からの有効な反論はなかった

■<議論の展開>
反駁・最終弁論では、以上の中で、いじめ問題にのみフォーカスを絞って議論された
肯定側  小学校のいじめが11.8% → 中学では40.8%
否定側  長期にわたるいじめこそが問題  日本はトップクラス

この議論は、even であると判断する。

残りの議論については否定側のデメリット② 私立中へ流れるものが増えるということに対し肯定が反駁で「なぜ公立を嫌うのか?私立では現在でも一貫教育を行っている」と反論
これに対する否定側の反論なし。否定側のデメリット①は、上記いじめ問題以外に有効に伸ばせた議論がない
肯定側もメリット①②も、反駁以降での有効な議論はなかったが否定側の最終弁論の「13歳から15歳は精神的にもっとも悩む時期」であるからそれは中学校として別個に教育すべきとの議論がニューアーギュメントになってしまった。

またメリット⑤だけが単純に残った。よって、肯定側がわずかに上回ったと判断する。

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