講評

講評

論題

BM漢祭り2004 -最終節- ディベートナイト タイトルマッチ
「日本政府は、国民年金の保険料徴収方法を税方式にすべし」

講評:井上晋

肯定側:奥山 真
否定側:久保田 浩
【試合結果】:肯定側勝利
ジャッジ総数80名
肯定側 63.41P(62票) 否定側 50.21P(18票)

これまでない緊張感と、大音響のなか、幕は切って落とされた。 漢祭りファイナルの開始だ。

まずは、予選で井上を打ち破り勢いにのる奥山のオープニングスピーチ。
奥山がもっとも愛するパートだけあって、プレゼンにも勢いを感じる。
現状の年金問題の重要性をしっかりと解き、プラン、解決性、メリットへと繋がってゆく。いつもながら、濃い原液を流し込むような、濃密な時間であった。
最終的な完成度は別として、粘度が増すまでに練りこまれた立論は、奥山の今大会にかける意気込みがそのまま現れていたようである。

続いて、久保田の尋問パート。通常、否定の久保田は、ここから急激に輝きを増す。まして、今回このパートに当てられた時間は、5分。レギュラーよりも長い時間だ。一つ一つ、奥山の立論を確認してゆき、さあ、これから、反撃の狼煙かと思われた。が、どうした、エンジンがかからない。時間がむなしく流れ、尋問終了となる。やや雲行きが怪しい…

否定側立論は、これまでのBMではあまり見られない、大量のデメリットを出してゆくというもの。ナンバリングでは、合計7点のデメリットを列挙。はたして、これをどう収集をつけてゆくつもりなのか。新しい「否定の久保田」が誕生するのか、はたまた、企画倒れに終わるのか。思わず、のめりこみ試合に見入る。

肯定側尋問。この変則の否定立論を奥山はどう受けるのか。
ここで、勝負が大きく揺れた。奥山は、落ち着き、デメリットを一つ一つ分析し、結局は、5つのデメリットにまとめなおしてしまった。事前のシミュレーションが活きているのだろう。大舞台でも落ち着いた捌きぶりだ。

反駁からは、久保田も論点を絞り、「厚生年金加入者の負担増」、「逆進性」、「現状での解決性」に的を絞った論陣を展開。奥山も、「逆進性」、「現状プランの実効性、効率性」について、的確に反駁。ただし、この部分は、少々専門性が高いため、分かりやすさという点では、互いにポイントをはずしていたと思われる。実に惜しい。

最終弁論では、それぞれの論を総復習した。
あっという間に、試合は終了した。 印象では、奥山の圧勝とおもっていたが、丹念にフローシートを見てゆくと、なかなか良い勝負。ただし、必死の思いで取り込んだ知識と論を、全身の毛穴から滲み出さんばかりに、勝負に挑んだ、奥山の論が、やはり優勢に思えた。これが、エトスであろうか。論理展開じたいは、ややもすると単調な試合であったが、まさに執念の勝利。
新ディベート・ナイトの誕生の瞬間であった。

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