講評

講評

論題

BM2006 - 1stRumble キックオフディベート 1stBurning
「論題:バーニングマインドは年2回の大会を有料化すべし」

講評:奥山真

肯定側:井上、中村(雅)
否定側:高澤、ディベーターP
【試合結果】:否定側勝利
ジャッジ総数 3名
肯定側 (40.75P) 否定側 (41.25P)

■<概   略>
肯定側は、エンターテインメントディベートを追及する為にはコストがかかる為、大会を有料化するべしという立場。対する否定側は、現状では、有料化の対価としてのサービス提供をする力量がない為、有料化は時期尚早として応戦。否定側が展開する「プロフェッショナル論」に対して、肯定側は明確な反論を避ける消極的な展開。そして、財務負担の増大を論証しきれなかった肯定側に勝つ術は残されていなかった。

■<肯定側立論:中村雅>
◇哲学:エンターテインメントディベートの啓蒙と普及には大会有料化が必要
◇有料化の意義:サービス提供団体として対価を頂くことで品質を保証する
 ⇒何故今、有料化か?
  ①TV出演
  ②教育業界への進出
◇プラン
  ①大会参加料:一律500円徴収
  ②徴収方法 :事前振込みおよび直接徴収)
  ③徴収目的 :運営費に充当(オーディエンスへの説明)
  ④大会の会場:国立オリンピック青少年記念センター
◇メリット
 M1. 質の高い集客
発生過程)①有料化によって、オーディエンス側に主体性が生まれる
        ⇒ドタキャンの防止効果
       ②有料化による財源にて演出効果をアップさせることが可能
        ⇒長期的な顧客満足(CS)の向上

 M2. BMメンバーの成長
発生過程)有料化による責任がメンバーのスキルアップにつながる

 M3. BMメンバーの財政的負担軽減
発生過程)20~30万円の増額が予想される為、有料化によりメンバーの
       財政的負担軽減

 M4. オーディエンスとディベータ-の関係が対等になる
発生過程)ギブ&テイクの関係になることで、今までの一方通行の関係
       が双方向の関係に改善

メリットはいずれも効果・インパクトの論証がない曖昧なものばかり。肯定側の立証責任を果たしていないと判断。また、哲学で謳ったエンターテインメントディベートの目指す形が示されておらず、演出には金がかかるから、それを大会のオーディエンスに転嫁するという主張に聞こえた。大きく出遅れた肯定側、いきなり苦しい展開。

■<否定側尋問:高澤>
4分といういつもより長い尺を有効に生かしきれず、尋問構成の改善が必要。ラベリングによるカテゴライズなど工夫が欲しいところ。現状の負担がメンバーにとって耐えがたい負担ではないと肯定側に認めさせた点は、肯定側のアキレス腱(=演出効果の為の財務負担増大という論証責任)を間接的に攻める形となり有効であった。

■<否定側立論:ディベーターP>
◇哲学:BMメンバーは精神的報酬および人間力向上を重視、BMディベートを広く普及させる
◇定義:プロフェッショナルとは?
    ⇒料金以上の価値を提供し、その品質を安定的に提供し続ける人
◇デメリット
 D1. BMディベートの啓蒙と普及という本来の役目を全うできない
発生過程)有料化による集客減少はBMの哲学に反する
       ⇒来場オーディエンスの94%は口コミであり、有料化は集客減少要因となる

 D2. 間口が狭くなる
発生過程)BMの価値を知らない人間が気軽に大会を見学できなくなる
       ⇒TV出演や本の出版による周知効果が期待できる中マイナス

 D3.プロとしての価値がない
発生過程)メンバーは皆、本業を抱えており、時間的・物理的な制限が存在する。
        その中で安定的な品質を担保することができない

◇メリットへの反論
 なし

デメリットの証明に全ての時間を割いた構成。肯定側が立証責任を果たしていないとは言え、相手を立てたかみ合ったディベートこそが本流であるとすれば、否定側はやはり肯定側の舞台に乗っていく必要がある。この点は是非改善してもらいたい。ただ、否定側立論を担当したディベーターPの落ち着いた、聞きやすいプレゼンテーションはとても2回目のディベートとは思えない見事なものであった。今後は途中で時間切れにならないよう、常にタイマーを意識して担当パートを全うしてもらいたい。

■<肯定側尋問:井上>
否定側立論の確認に終始する単調な構成。旗やパネル、コピー代などに多額の費用が発生しているというイメージを抱かせる尋問があったが、実際には合計30000円で小額であるとで否定側最終弁論で突っ込まれてしまった為、逆効果となってしまった。デメリット1と2をまとめて一つにした点は、大変有効であり、また聞く人間の立場にとっては分かりやすくなって良し。

■<否定側第一反駁:高澤>
デメリットの補強⇒メリットの反論という構成だったが、立論の繰り返しになる単調さが目立った。争点を明らかにし、証拠資料を元に補強していくという第一反駁パートの意義をよく理解して、準備を進めてもらいたい。

■<肯定側第一反駁:中村雅>
コンパクトにデメリットへの反論、メリットの補強をしていったが、肯定側立論でのビハインドは大きく、ポイントになる点はなかった。ラベルごとにまとめられている点は良いが、否定側との争点を整理し、優位となる論証を加えるような構成の妙を見せて欲しかった。

■<否定側最終弁論:ディベーターP>
BMエンターテインメントディベートの啓蒙と普及という哲学に立ち返り、一人でも多くのオーディエンスに広く感動してもらうという点を強調してスタートするも、相手の論との比較・立論の再構成という点は全くできていなかった。ただし、肯定側が主張する増加コスト30000円に対して、「BM2005の余剰金7万円で十分賄える」と切り返した点は見事だった。

■<肯定側最終弁論:井上>
BMが何をしなければならないのか?という点について以下の3点を強調。
 ①メンバーのスキル向上
 ②大会の質向上
 ③オーディエンスの質向上
しかし、肯定側立論で立証できていない為、これらは有効な最終弁論にならなかった。

■<判定と総括>
肯定側立証責任果たせず、否定側の勝利。
肯定側は目指すエンターテインメントディベートの形、そしてそこに必要な演出費用が描けず、小手先の議論に終始した感がある。さらに、有料化の対価としてのサービス論、プロフェッショナル論に関する考察が抜け落ちており敗北は必至であったといえよう。対する否定側は、否定側立論の冒頭でプロフェッショナルを定義した点は議論を分かりやすくする上で有効であった。肯定側の自滅という形ではあったがポイント的には僅差。プレゼンテーションなど否定側も多いに反省する材料がある。

以上

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