ディベートの基礎知識(ルール、やり方、論題、用語)

ディベートの基礎知識(ルール、やり方、論題、用語)

ディベートの基礎知識(ルール、やり方、論題、用語)

1.ディベートとは?

ディベートの試合は、設定されたテーマの是非について、話し手(ディベーターと呼ぶ)が肯定側・否定側に分かれ、 決められた持ち時間・順番にのっとり、第三者(ジャッジ、観客)を説得する形で議論を行います。 ディベートには必ず勝敗があります。議論された内容を基に第三者が勝ち負けを評価します。 勝ち負けの基準は、肯定側・否定側のどちらが、第三者(ジャッジ、観客)をより「説得」できたかで決めます。

■ディベートはこんな人に最適!

  • アイデアに自信があるが、周りを説得しきれない
  • もっと評価されてもいいはずなのに、話し方で損をしている
  • 敵をつくらずに、自分で描いた通りに話を進めたい
  • つねに信頼され、周りがついてくる人になりたい
  • 論理的に考え、話す技術を身につけたい
  • ビジネスで通用する交渉力・提案力・営業力を身につけたい
  • 実践的なコミュニケーションスキルを短期間で高めたい
  • 聴く人を惹きつけるプレゼンテーションの技術を知りたい

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2.ディベートの基本的な形式とルール

■ディベーターとジャッジの配置

下図のような配置をとり、ディベーターは基本的に論壇の場所でスピーチを行います。

ディベート試合時のディベーターとジャッジの配置

■ディベートの論題(テーマ)決定から試合まで

論題が決まったら、ディベーターは肯定・否定の両方の立場から論題に取り組みます。肯定側・否定側のどちらで発表するかは、各試合の直前にランダムに決められるからです。

ディベートのポイント

ディベートの試合は、自分の個人的な主義主張を訴える場ではない、という点に着目してください。論題(テーマ)によっては、「自分は絶対に、この論題には賛成(あるいは反対)できない!」と感じることもあるかもしれません。ですが、あえて逆の立場に立って論題を見つめ直し、双方の立場から客観的に論題を検証していくことが、自分の視点を深めることにもつながるのです。 ここにこそディベートを行う意味、真髄があります。

■ディベートの試合のながれ

何種類かのスタイルがありますが、BURNING MINDでは下図のような形式を採用しております。

ディベートの試合の流れ図

一人の選手が話している間は、基本的に他の選手は発言してはいけません。また、総計2分間の作戦タイムを設けており、任意の各パート間において任意の時間取ることが可能です。

■ディベートの各パートの説明

<立論>

試合全体のたたき台となる議論を出さなければならないため、各スピーチのなかでも、最初の立論はもっとも重要な役割を担っています。立論にもいくつかスタイルがありますが、最低限下記の3つを示すことが求められます。

①論題(テーマ)の解釈(言葉の定義)
抽象的な言葉をあいまいにしたままでは、議論がかみ合いません。例えば、「国家の安全」とした場合、どういう状態であれば安全といえるのかを明確にしなければなりません。
②論題(テーマ)を推進させるプラン
論題(テーマ)は「~すべし」という形式がほとんどですが、それを実行するための具体的なプラン、それによって想定される懸念事項を補足するプランなどを示します。 否定側のプラン(スタンス)は、通常は現状維持となります。また、否定側からも対抗する代替案を示せる、「カウンタープラン」というスタイルも認められています。この場合、「肯定側では選択できないプラン」という条件をクリアしなければなりません。
③プランによって発生するメリットの提示
否定側の場合は、肯定側プラン実行によるデメリットとなります。 メリット(デメリット)は、通常以下の3点を示すことがポイントです。
1.現状分析
  • 肯定側⇒現状に問題があることを指摘、あるいは現状では論題(テーマ)を達成できないことを証明。
  • 否定側⇒現状に問題はない、問題は深刻ではない、あるいは現状でも問題解決できることを証明。
2.発生過程
  • 肯定側⇒プランによって解決する、または現状と比較して良くなるというシナリオ。
  • 否定側⇒プランによって悪化するシナリオ。
3.重要性・深刻性
  • 肯定側⇒その問題を解決できることがいかに重要かを強調。
  • 否定側⇒新たに生まれた問題がいかに深刻かを強調。

否定側は、肯定側の主張を否定だけしていればよいということではなく、「現状で問題は解決できる」「現状を変えると新たな問題が生じる」という証明をし、肯定側の改革案に対して現状の政策の優位性を訴える必要があります。

<尋問(Q&A)>

基本的には、立論で聞き取れなかった事、解釈の行き違いを補整し、すれ違いをなくす事で議論の争点を明確化します。高度になってくると、質問によって相手の矛盾点をあぶりだし、その後の展開を有利に運ぶことができます

<反駁(はんばく)~最終弁論>

メリット・デメリットを互いに出した後は、基本的にそれに対する反論・再反論の応酬が続きます。

反駁においては、単に立論の繰り返しに終始するのではなく、相手の尋問や主張を受けた形で、自分達の主張を違う側面、言い方を換えて述べることです。ここで注意しなければならないことは、論理の一貫性です。反論を意識し過ぎて、立論で述べていない新しい議論(ニュー・アーギュメント)まで展開してしまうと収拾がつかなくなってしまいますので、ルール上減点対象となります。

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3.ビジネスで実践できるディベート力を鍛えるには?

■BMディベートを書籍・CDで学ぶ

BURNING MIND理事の太田龍樹がわかりやすく事例を交えながら、ビジネスでも役立つコミュニケーションスキルをお伝えします。

■BURNING MIND主催のセミナーに参加しよう!

BURNING MINDの大会の観戦にいらっしゃる多くの方々から、「自分たちもディベートを学ぶ場が欲しい」「書籍で学んだことを演習的に鍛える場所が欲しい」「社会人にとって真に実践的なビジネスコミュニケーションを高められるようなセミナーに参加してみたい」という声があがり、現在、使えるディベートセミナーを開催しております。
BMのセミナーでは、BURNING MINDのトップディベーターが皆様を直接指導します。また、短期間でコミュニケーション力・聞く力を鍛えるために、参加型演習形式の講義形態をとっておりますので、参加人数には限りがあります(定員に達し次第しめきり)。
セミナーはディベート初心者、女性の方も歓迎いたします。スタート時の実力は全く問いません。
また、企業・教育機関向けの「企業研修 カフェテリアプラン」研修のご提案もしております。

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4.ディベートの定義

■辞書

外来語年鑑(2011年)
「討論。討議。定められたルールに従い、対抗する2組が肯定側と否定側に立って討論するコンテスト」
現代用語の基礎知識(2011年版)
「あるテーマについて肯定側と否定側とに分かれて行う討論。ジャッジが勝ち負けを宣する場合もある。 →討論」
広辞苑(第六版)
「討論。議論。」
パーソナル現代国語辞典
「〈討論〉 a debate」
新和英中辞典(第5版)
「a debate(討論)」
パーソナル和英辞典
「討論(会)、 論争、 ディベート、《議会などの》討議、 論戦、 審議、 討論の技術[研究]、熟慮、《古》争い
  • ・hold debate with oneself 熟考する
  • ・open the debate 討論の皮切りをする
  • ・under debate 討論[討議]されて
リーダーズ英和辞典(第2版)
「討論研修クラブ[会]、弁論部、ディベートクラブ」
Oxford Dictionaries Online - English Dictionary and Thesaurus
「via Old French from Latin dis- (expressing reversal) + battere 'to fight'」
研究社 新英和中辞典
「古期フランス語“戦う”の意」

■書籍

福澤全集諸言  福澤 諭吉(著)  松崎 欣一 (編集)

1873年福沢諭吉が日本で初めてdebateを「討論」と訳した。
『演説の二字を得てスピーチュの原語を訳したり。今日は帝国議会を始めとして日本国中の寒村僻地(へきち)に至る迄も演説は大切なる事にして、知らざる者なきの有様(ありさま)なれども、その演説の文字は豊前中津(ぶぜんなかつ)奥平藩の故事に傚(なら)うて慶應義塾の訳字に用いたるを起源として全国に蔓延(まんえん)したるものなり。その他デベートは討論と訳し、可決否決等の文字は甚(はなは)だ容易なりしが、原書中にセカンドの字を見て、之(これ)を賛成と訳することを知らずして頗(すこぶ)る窮したるは今に記憶する所なり。』

日本人が知らない世界と日本の見方(PHP文庫)  中西輝政(著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4569761674/burningmind19-22

『オックスフォード大学といえば有名なエリート大学ですが、その中でもとくにエリート層はユニオンと称する「ディベイティング・ソサエティ」つまり弁論部に入ります。イギリスではオックスフォード、ケンブリッジという名門大学出身の最優秀の学生は、だいたい二十代後半で国会議員に立候補します。貴族の次男三男といった人たちで、そのために弁論部に入って政治討論を学ぶのです。(p48)』

日本人が一生使える勉強法 (PHP新書)  竹田恒泰(著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4569820204/burningmind19-22

『ディベートは一種のゲームで、審判が勝敗を判定します。その評価は、内容が正しいか、好きかなどではなく、論拠がしっかりしていて、論法が合理的で、説得力があるかどうかによって決定されます。
だからこそディスカッションは、話の内容自体に意味を持ちますが、ディベートは、
論理と論理を戦わせる「言葉のスポーツ」と言われるのです。 
私は高校生のときに、ディベートの面白さに完全にはまってしまい、それに没頭しました。(p186)』

ギリシャ哲学の対話力(集英社) 齋藤孝(著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087814866/burningmind19-22

『近年、議論の上達を求めて子どものうちからディベートをやらせる人たちがいます。
ある問題について立場を分けてそれぞれの論拠を主張し合い、遠慮のない激しい討論を繰り広げるのがディベートの特徴です。
これはたしかに論理的思考を身につけたり、自分の主張をはっきり言葉にしたりするトレーニング効果はあると思います。立場を入れ替えてやることで、両方の視点をもつ練習にもなります。
ですが、ディベートというのは相手との融和を目指しているものではありません。勝つことが目的。そのために相手の論旨の弱点や盲点を探し、そこを突破口に論理を展開していく。ときにはまったく本質的ではないところで論理性だけを推し進めていくような面もあります。
はたしてそういう技術を小学生くらいからつけることがいいのか。ディベートは、対話のコミュニケーション力を養うものではないところに、私は若干疑問を感じずにはいられないのです。
高校生、大学生になって、ディベートとはどういうものかを知り、議論の一方法としてやるのは意味のあることだと思います。が、ディベートを練習するのであればなおのこと、相手をやりこめ、言い負かすことは議論の本当の目的ではないというルールを知っておいてほしいと思います。(p35~36)』

『福沢のやっていた討論に近いバトル系のトレーニングの手法がディベートです。
立場を入れ替え、Aの人がBの立場になり、Bの人がAの立場になっても、議論することが可能というやり方は、ディベート能力を磨いていくときによく行われるやり方です。
たとえば、原発推進派と廃止派とに分かれてシミュレーション議論をする。双方のメリット、デメリットを全部挙げて、どうしたら相手を論破できるかを考える。なぜこちらのほうがいいのか、なぜそちらではいけないかを議論する。そのあと、立場を逆転させたらどうなるかで、また話し合う。
両者が融和を目指すことはなく、ある脈絡のなかで対峙しあって、どちらかの立場が勝つまでやる。その着地点をどうやって見つけるか。闘うことで論点を明らかにするような話し合いをするのが、ディベートの特徴です。
ディベートの練習をすることで効果的なのは、逆の立場になって考えてみることで、双方の視点をもつことができる点です。こちらの立場の長短、あちらの立場の長短、それを両方知ることで、思考に柔軟性が出てくる。自分の立場のことしか考えられない人に視点の切り替えを学んでもらうにはとてもいい方法です。
ただし、ディベートは勝ち負け重視なので、気づきの発見よりも、いかにして相手を論破するかというテクニックに走ってしまいがちなところもあります。
さらに、実際に社会に出てからディベートが活用できる場はじつはそれほどないということです。なぜなら、日本の社会は議論をただ議論としてだけで捉えて吟味するのではなく、そのときどきの状況込みで捉える。つまり感情的なものを切り離しにくい傾向があるからです。
社会における人間関係は、そのほとんどが先々も継続していかなくてはいけないものです。いくら個人の人格を損ねる意図ではないといっても、ビジネスの相手や上司に対してディベート的な対論を仕掛け、相手を徹底的に言い負かしてしまうようなことはやはりできません。
私情をはさまないことがディベートの理想とはいえ、そこは人間のやること、感情の振幅を完全に切り離すのはなかなか難しい。少なくとも日本では対決姿勢で相手と対峙するようなかたちは、現実的とは言えないのです。 実際に社会で必要なのは、違和感を覚えたり共感を得たりを繰り返しつつ、粘り強くコミュニケーションを続ける力です。
ディベート的な訓練をしたことのある人は、思考の枝葉をあちこちに張りめぐらせることができます。その強みを活かして、ディベートもできれば、相手と一緒に気づいていこうというクリエイティブ系の対話もできるようにする。社会で求められているのはそういう柔軟な対話力なのです。(p162~164)』

週刊東洋経済 2015/1/17号
「知の技法 出世の作法」 佐藤優
【第375回】信頼できる評論家が池上彰氏である理由
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00S0OD1Q8/burningmind19-22

『ところで、一見、対話に似ているが、それとまったく異なるのがディベート(対論)だ。最近の大学や企業研修ではディベート能力が重視されているが、筆者はディベートの基本を理解せずにその技法だけを訓練することは危険だと思う。ディベートは、中世の騎士が行っていた決闘を言論の世界において行うことだ。決闘で負けた場合、死を覚悟しなくてはならない。
中世神学のディベートでも、負けた者は勤務している大学や修道院から追放される。これでもまだましなほうで、学界から追放される、あるいは教会から破門されて森の中をさまよい歩いて野垂れ死にする可能性も十分あった。ディベートの場合、テーマもルールもあらかじめ設定されている。審判員がいて、どちらの論者が優勢であるかをルールブックに基づいて判断する。そこには、開かれた心で新たな真理を見いだしていこうという気構えはない。』

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