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2016.9.20(火)
アビコ青年のディベート事件簿
File49「いじめ」(2016年9月20日)

ほぼ月イチコラム アビコ青年のネオ・ディベート事件簿 file 49
本日のテーマは「いじめ」です。

■声なき叫びが聞こえる日、「9月1日」
18歳以下の自殺は、過去40年間で9月1日が最多。
そんな衝撃的な事実が内閣府の平成27年度版自殺白書で公表されました。
特に、「10代前半は自殺の予兆がないことが多い」との報告ですが、
その認識でいいのか疑問がわきます。
予兆がないのではなく、「予兆を察知できなかった」と認識する方が正しいはずです。

■大人の理屈、子どもの本音
不登校の子どもに、大人は無責任に言います。
「学校に行きなさい」「簡単に負けてはいけない」。
一方、ひとたび事件が起これば、またも大人は無責任に言います。
「学校なんか行かなくてもいい」
「いくらでもやり直しはできる」
まさに手のひら返し。その繰り返し。
大人の自己満足ではなく、悩みを抱える子どもの心に響く言葉はないのでしょうか?
とはいえ、正直に言えば私も簡単には思いつきません。
これも無責任な話。ジレンマは続きます。

■例えば、「漠然とした未来より、今日ある楽しみ」
自殺してはいけない、そんなことは当の本人もよく分かっているはず。
追い詰められている彼ら、彼女らの心に届く言葉はないものか。
この件について、大竹まこと氏はラジオで発言。
「漠然とした将来の希望を語るより、今日ある楽しみを伝えたほうが心に響くのではないか?」
「例えば、『大好きなカレーライス、もう食べられなくなっちゃうよ?』というふうに」
これはあくまでたとえ話ですが、八方塞がりで自死を選ぶ寸前の人間に、
曖昧な未来の希望を説いても心には響かないでしょう。
それに比べたら、確かに子ども目線、当事者の心に寄り添った発想に思えます。
つまり、大人の正論を振りかざした模範解答より、
苦しみを抱える当事者に寄り添った視点が大切と感じます。

■子どもが安心できる情報を
内閣府の白書では、「子ども自らが周囲に悩みを打ち明けやすい環境を作っていくことが重要」と説いています。
打ち明けやすい環境作りは大切です。ただし、それにも限界があります。
いじめは陰湿であり、どんなに大人が環境整備をしようにも、
子どもたちの監視の目(チクリ防止)には強力なものがあります。
「先生にいつでも相談してください」では、
相談したくてもできない子どもが後を絶ちません。
そうであるなら、「そもそも、いじめはなくならない」
という大前提で考えたほうが現実的です。(辛い話ですが)
その上で、追い詰められている子どもたちには、
まず情報をたくさん提示するのも一つの手かもしれません。
例えば、単に「学校を休んでもいい」「行かなくたっていい」ではなく、
休んだとしても、他にも学んでいく手段は複数あることを提示する。
具体的なモデルケースを提示する。
同じような壮絶な経験をした人の事例を示す。
実際に社会で活躍している人の事例を紹介する。
子どもたちが大人に相談する前に、
「死ぬくらいなら、別な進路を選んでみようかな…」
自らそう思える選択肢を数多く提示することが、
暗闇の中にいる彼らにとっては希望になるかもしれません。
もちろん、ここには親・教師の理解も必要です。
「進路変更は世間体が悪い」「自分のクラスからそんな事例は出したくない」
そんな考え方はせずに、子どもの声に耳を傾ける。
つまり、いじめの温床である子ども社会を変えようとするよりは、
大人たちが自らの認識を変え、具体的な選択肢を提示する方が現実的な気がします。
それこそが「相談しやすい環境整備」の第一歩かもしれません。

■見えないものに光を当てる
例えば、文科省がよく実施する学校アンケートで、
「6割の学校でいじめがあった」と報告されたとします。
この数字をどう捉えるか?
ヤンキー先生こと義家弘介・衆議院議員は言います。
「『6割の学校でいじめがあった』のではなく、
『4割の学校では、いじめが認知されていない』と捉えるべき」
ここには、教育現場で数多くの現実を見てきた義家議員の、
現実を直視した姿勢が垣間見えます。
多かれ少なかれ、いじめのない学校はないという認識です。
そして、この「4割」の声なき声に、いかに耳を傾けられるか。
それが文科省のいう「予兆のない」とされる自殺を認知する第一歩になるはず。
人知れず思い悩み、登校に怯えるたくさんの子どもたちを思うと、
いたたまれない気持ちになります。
一人でも多く、いや、全ての悩める子どもたちが、
自らの可能性を信じて生き抜いてくれることを切に願います。
以上


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以上、アビコレポートでした。

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