BMブログ

BMブログ記事詳細

2016.8.10(水)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第48斬 「平成の玉音放送」(2016年8月10日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第48斬 「平成の玉音放送」

※お知らせ『第19期 使えるディベートセミナー(2016/10/30開講)』受講生募集中!

極めて異例なことが起きています。
2016年8月8日(月)15時に、天皇陛下のお気持ちが、
ビデオメッセージで流されました。
その中身は予想以上に踏み込んだものです。
高齢で天皇としての務めが十分に果たせなくなる懸念を表明しただけでなく、
各地に出かけ国民の傍に寄り添うことこそが象徴天皇の役割であり、
単純に公務を縮小するのは「無理があろう」と明言。
「摂政」をおくという措置に対しても違和感を表明されました。
とりわけ、何度も「象徴」というお言葉を繰り返されていた部分に、
「現憲法を守る」という強いお気持ちを感じました。
■生前退位するためには?
天皇陛下が生前退位するのは、現行のルール上では不可能です。
生前退位には、「皇室典範(てんぱん)」という皇位継承等、
を記述した法律を改正する必要が出てきます。
憲法改正が必要では?
と報じるメディアも見られますが、憲法第2条では、
“皇位継承等については皇室典範という法律に則れ”としているだけで、
生前退位に関して憲法改正は必要ありません。
「天皇陛下も高齢で大変だよね」
と片づける前に、一つ大きな問題を指摘いたします。
それは、「情報の出所」です。
■前代未聞の大スクープ
一番初めに、「天皇陛下の生前退位」のスクープ報道をしたのはNHKです。
本来であれば、皇室についての発表は宮内庁によってなされるのが普通です。
NHKによると、情報の出所としては「政府関係者への取材」で、
明らかになったと報じています。
現時点で、政府関係者の具体名は明らかになっていません。
つまり匿名情報です。
報道に慎重なNHKが一番乗りで報道したを鑑みると、
宮内庁に近い、もしくは宮内庁内部の関係者のリークであろうと推測できます。
しかし一方で、NHKニュースの後、
宮内庁は「生前退位」について即座に否定しています。
これは一体どういうことでしょうか? 
日本の国体に関わる大スクープを、匿名情報に基づいてNHKが宮内庁をすっぱ抜く。
これは極めて異例であり、前代未聞の出来事です。
事実として、主要各紙が一面でNHK報道に追従し、
天皇陛下のビデオメッセージに繋がっています。
宮内庁は常日頃から皇室関連報道を細かくチェックし、
事実と異なる場合には当該メディアに厳重抗議した上で、
即座にそれを同庁ホームページで公表するのが通例です。
しかし、今回のNHKスクープは宮内庁ホームページに載っていません。
「天皇陛下による政治行為」を回避する為の苦肉の策だったのかもしれません。
■今後どうなるのか?
なぜ、このタイミングで天皇陛下のご意向が発表されたか?
参議院選挙の直後という点にヒントがありそうです。
7/10に行われた参議院選挙では与党が事実上の勝利をかざり、
改憲勢力が改憲の為の3分の2議席を確保。
「憲法改正」への影響を意図した発表であったと推測されます。
とはいえ、報道されている情報だけでは、
今回のNHKスクープの背景や本当の裏事情は正直分かりません。
ただ、「憲法」と「皇室典範」という2つの改正論議が、
今後どのような経緯を辿っていくか、
を見守ることで明らかになっていくことでしょう。
キャストライトアップの考え方を適用すると、
下記二つのシナリオが想定されます。
キャスト①:改憲派(安倍内閣、与党)
→「生前退位」をテコに「憲法改正」が進むシナリオ。
早速、産経ニュース(8月8日)では、
『天皇陛下の生前退位、必要なら憲法改正してもよい』84.7%
というアンケート結果を公表しています。
「生前退位」には憲法改正は必要ないので、
この設問は明らかにミスリードです。注意しなくてはいけません。
キャスト②:護憲派(天皇陛下)
→「生前退位」という優先順位が高い政治課題を差しはさむことで、
 憲法改正が遅延するシナリオ。
実際、安倍内閣は「皇室典範の改正」を検討するチームを立ち上げ、
年内をめどに「生前退位」を可能とする具体案の策定に入っています。
将来にわたり、国民全体に関わる話です。
今後の議論に注目していきましょう。

■正しい判断の為に
ディベートのジャッジ(判定)には様々な要素が求められますが、
私が一番大切だと思う点は、「ムードに流されない」ことです。
「空気を呼んで結論を下す」もしくは「声が大きい人の意見を採用する」
ことが常態化している企業も数多いと思います。
ですが、死活的に重要な、やり直しが効かない決定に際しては、
ムードではなく、論理的なアプローチが欠かせません。
来たるべき国民投票にむけて、ロジックを鍛えたい方、
正しい判断を下す確かな目を持ちたい方、
『第19期 使えるディベートセミナー』にてお待ち致します!!
-------------- 詳細はこちら --------------
http://www.burningmind.jp/debate_seminar/
------------------------------------------


PAGE TOP