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2017.9.26(火)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第59斬 「中国とロシアの野望」(2017年9月26日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第59斬 「中国とロシアの野望」

安倍内閣が衆議院解散を決めました。
2017年9月28日から始まる臨時国会の冒頭で、
衆議院解散を決定する見込みです。

■憲法無視
臨時国会は憲法第53条で明文化されています。
「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求」があれば、
内閣は臨時国会を開催しなくてはなりません。
いわゆる「もりかけ疑惑(森友学園&加計学園を巡る疑惑)」
を解明すべく、野党は臨時国会召集を要求してきました。
憲法で規定された「臨時会召集義務」を無視し続け、早三ヶ月。
ようやく、臨時国会を開催したと思ったら、冒頭解散。
まあ、ひどいものです。
首相が質疑もせずに解散するのは違憲の疑いがあります。

■レベルの低い見識
安倍内閣ナンバー2の菅官房長官も同様にひどい。
「衆議院解散は総理大臣の専権事項である」
衆議院解散について定めているのは、憲法第7条と第69条。
前者は、天皇の国事行為として定めており、
後者は内閣不信任案に対する局面打開策として定めています。
いずれにせよ、「専権事項」とは一言も書かれていません。
憲法を読み換えることが常態化した我が国では、
専権事項に読み換えることも可能ということでしょうか?
国民をバカにし過ぎです。
国家トップの傲慢、嘘、レベルの低い見識、そして無戦略、
日本は本当に恥ずかしい国に成り下がってしまいました。

■上海協力機構(Shanghai Cooperation Organisation)
海外に少し目を向けてみます。
上海協力機構とは、中国とロシアが主導する軍事同盟。
名前は穏やかですが、実質的には軍事同盟です。
主要な加盟国は、中国・ロシア・インド・パキスタン。
加盟はしていないが、参加している国となると、
ASEAN諸国・イラン・トルコとその影響力を強めています。
世界の全人口の約42%(約30億人)をカバーする同盟、
というと皆様は驚くでしょう。
ここで大切なことは、
「上海協力機構=壮大な戦略を実現するための戦術」
ということです。
ユーラシア大陸をまたがる大同盟を結成する必要がある、
壮大な戦略とは一体何なんでしょうか?

■中国とロシアの戦略
一言でいえば、
「民族の自立・独立・誇りを守る」ことでしょう。
例を2つ挙げましょう。
一つ目はイラクのフセイン大統領。
サダム・フセインは、イラクの石油を、ドルではなく、
ユーロで取り引きすると発表しました。
結果、イラク戦争でアメリカに政権転覆されました。
二つ目はリビアのカダフィ大佐。
反アメリカ主義で、欧米のやり方に反発していました。
国際金融支配からアラブ諸国を独立させるため、
新しい「通貨・ディナ」を作ろうとしたところ、
反政府組織による内戦を画策されて殺されてしまいます。
カダフィ大佐は愛国心の強い政治家でした。
詳しくは以下のブログをご参照ください。
http://bossanovaday.hamazo.tv/e4223198.html

■中国とロシアの戦術
軍事的独立の為、上海協力機構を拡大中です。
経済的独立の為、アジアインフラ投資銀行を設立しました。
ドル支配からの独立の為、金(ゴールド)をかき集め、
さらに、金算出量では世界第1位と2位を占めています。
具体的な動きとしては、原油先物契約をドル建てから、
中国元建てに切り替えようとしています。
<中国が狙う原油指標の座 元建て先物を計画 サウジにも秋波>
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO20958010Z00C17A9EA4000/
 ※記事全文は無料会員登録で見ることができます。
第二次世界大戦以降、国際社会には、
「原油・石油の決済手段はドル」という、
暗黙かつ致命的なルールがあります。
そのルールを変えようとしたフセイン大統領は殺されました。
軍事的独立という前提条件がなかったからです。
しかし、中国がその絶対的なルールを今、
まさに変えようとしている。
上海協力機構という軍事的裏付けがあればこそ、
達成できるのです。

■まとめ
戦略とは理念(哲学)と言い換えても良いかもしれません。
スケールの大きな理念を描き、無言実行するリーダーを持つ、
ロシアや中国と比べると、
我が国の政治家・トップは、
「今だけ、カネだけ、自分だけ」
なんと貧相なことでしょう。
変えられるのは、
投票権を持っている我々主権者(日本国民)のみ。
覚悟をもって、総選挙に臨まなくてはなりません。


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