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2017.10.3(火)
第52回 「NetflixのCMに明石家さんまさんが出演」(2017年10月3日)

ほぼ月イチコラム
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第52回

NetflixのCMに明石家さんまさんが出演中です。
地上波のテレビを牽引してきた大御所がそのライバルとなる有料のネットTVのCMに出演されていることにびっくりしました。ご本人もCMの中でまだ完全に気持ちの整理ができていないと述べられています。
「テレビ欄で放送時間をチェックして、その時間に合わせてお茶の間に座って観る」という視聴スタイルから、「録画して観る」にかわり、ついに「見たいときに見たいものを自分の端末で見る」というスタイルにテレビ視聴が変わってきました。
それにより、家族みんなの団欒の道具から、完全にパーソナルな媒体に変わってきています。
テクノロジーの発達により、私たちの生活が変わってきている顕著な例と言えるでしょう。。
さて、テクノロジーが進化するとそこに、「法律のグレーゾーン」が生まれます。
分かりやすい例でいうと、「自動車の自動運転をしている車が事故をするとだれの責任になる?」といったようなものです。自動運転技術というテクノロジーが活用されることにより新た法律が必要になるという例です。
もう一つ、最近起こった問題を例に挙げると、人気YouTuberのヒカルさんがVALUというサービスで起こした騒動がそうです。この騒動を簡単に言うと、「人の価値を仮想で証券化し、ネット上の仮想通貨(ビットコイン)で売買する」ことによって起きたものです。人の価値を証券化するというのも新しいことですし、ビットコインもまだまだ法整備が整っていない新しいサービスです。いずれも、ブロックチェーンという新しいテクノロジーを実用化することで生まれているサービスいです。
この仮想証券を仮想通貨でやり取りするという、なんとも雲をつかむような商取引のなかで、詐欺まがいのことが起きたのがヒカル氏の騒動です。
さて、話はテレビに戻ります。
ネットTVも新しいテクノロジーを使ったサービスの為、地上波のテレビが受けている法的な規制をうけません。その法律は放送法です。ここにグレーゾーンが生まれます。
放送法の目的は「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図る」ことで、義務として「公安・善良な風俗を害しない」ことを放送事業者に求めています。よくテレビなどでいう「放送コード」がそれです。
お茶の間で、みんなが見ているのですから、やはり公序良俗を乱すような番組はいただけないということです。また、教育委員会をはじめ各種団体からの圧力も当然あり、規制する方向に進んでいます。一方で、同じTV番組でありながら、個人が自分から積極的に見に行くタイプのネットTVでは、公共の秩序より表現の自由が優先されるからなのか、直接この法律の規制を受けません。
そうすると、このグレーなところを突く番組が出ます。
代表例が、Amazonプライム・ビデオのオリジナルコンテンツ『ドキュメンタル』でしょう。こちらは、ダウンタウンの松本人志さんが中心となり、地上波での規制を取っ払い、やりたいお笑いを実現するという企画となっています。
ルールが取り払われたとき(グレーになったとき)その枠をギリギリいっぱいまで使い、彼のやりたかったことをやったのだと思います。
しかし、私にはお笑いというより、下品かつ下劣な下ネタのオンパレードにしか見えませんでした。
もちろん、それを面白いと思うかどうかは個人の感想レベルの問題ですが、ルールを取っ払った結果としては、とてもつまらないと感じました。
なぜ、規制が存在するのでしょうか。
それは、一部の人の利益の為に他の人の利益が害されないためです。
フェアな取引をする為ですし、秩序を守る為です。
金融商品取引法があるのは、他人をだましてお金を奪わせないためです。
放送コードがあるのは、電車の中で急に服を脱ぎだすと迷惑をかけるのと同じ理由です。
でも、いったん新しいテクノロジーにより、見かけ上法律のタガが外れると、その間隙をつく人が出てきます。
法律は遅れながら整備されますが常に新しいテクノロジーは出てくるのでいたちごっこです。そうであれば、求められるのはルールではなく倫理や道徳です。
人を騙さないとか、他人に不快な思いをさせない、とか。
「送法コードが緩いのは魅力に感じますか?」とNetflixのCM中にインタビューアーに聞かれた明石家さんまさんは、こう答えています。
「それは、あんまり感じないですね。
スポーツ、サッカーとかやってきた人間は、ルールの中でやりたいねん。
枠を超えて無茶できるからって芸人さんもたくさんいらっしゃるけど、多分スポーツやってない人やと思う。
おいらは、ルールがあるから面白いってのがあるねんな。
そんなにそれは(枠を超えて無茶するのは)好きでは無い。枠の中でやっていきたい。」
彼が新しい環境で作った作品は、Jimmy~アホみたいなホンマの話~
長年の盟友であるジミー大西さんの半生を描いたドラマでした。
どちらも、お笑い界の大物が、新しい環境で取り組んだ新しい取り組みでした。
一方は、よりきわどい、エグイ表現手法を取り入れ、何でもアリのお笑いを追及していきました。
一方は、地上波では扱いにくい自分の盟友にスポットライトを当てることに心血を注ぎました。
どちらが良いとか悪いとはは一概には言えませんが、新しい環境で何をするのか。また、何をしないのかは、その人物の人ととなりを顕著に表しています。
私は、単純に明石家さんまさんのブレない選択に感銘しましたし、そういう選択が評価される世の中であってほしいなと思いました。
皆さんはどう思いますか。

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