講評

講評

論題

BM漢祭り2004 予選第4試合(2004年2月)
「日本政府は、裁判員制度を導入すべし」

講評:高澤拓志

肯定側:中西夏雄
否定側:高澤拓志
【試合結果】:肯定側勝利
ジャッジ総数15名
肯定側 52.27P(8票) 否定側 51.04P(7票)

■<肯定立論>

「司法への国民的基盤の強化」を理念に掲げ、比較優位型の立論で始まる。
裁判員制導入のプランにより生じるメリットは以下の3点。

M①
司法における国民的基盤の強化
M②
分かりやすい裁判の実現
M③
証拠認定において新鮮な感覚が取り入れられる

発生過程は以下の通り
M①、M②
国民が裁判(事実認定及び量刑)に直接、参加可能であるから。
M③
現状は、裁判官の人生経験のみが判断根拠であるのに対し、 プラン実行により国民の様々な経験が加わるから。

一方、否定側の立論は以下の通り、

■<否定立論>

まずはデメリットの3点。

D①
判決に疑問が生じる。
D②
司法の世界が、かえって閉ざされた世界となる。
D③
復讐の危険が生じる。

発生過程は以下の通り。
D①
裁判には法律知識が必要であり、そのための教育が なされていない、素人が裁判を行うから。
D②
肯定側プランに、「取材の禁止」「裁判員の守秘義務」が 取り入れられていたことから。
D③
法律の素人が裁くために、その判決に対して不服が 生じる可能性がある。従って、いわゆる「お礼参り」 が発生すること可能性がある。
(否定尋問において、肯定側プランでは「評決後の取材は 可能であること」を確認した上でのデメリット。)

そして肯定側のメリットに対して、
M①
国民的基盤の強化が、具体的にどんな重要なメリットを 発生させるのか? と追求を行った。

■<反駁および最終弁論でのポイント>

全体として否定側のデメリットについて議論が展開されていった。
結果、
D①
「裁判員6人に対して、裁判官(プロ)3人の制度であり、 裁判官3人が残る以上、裁判の質は落ちない」、とする 肯定側の論により、D①は消えた。
D②
「取材に対しては禁止するものの、報道に対しては特に 規制を設けない」とする肯定の論により、D②も消滅。
D③
「プロが残る以上、現行と変わらず、プランを実行することに よって新たに発生するデメリットではない」とする肯定側の 論によりこれも消滅。

一方、肯定側メリットについては、
「国民的基盤の強化が、具体的にどんな重要なメリットを 発生させるのか?」とする否定側に対して、「直接司法に かかわることが国民的基盤の強化につながり、これは理念に 基づくことであるから重要である」とする肯定側の論が かろうじて残った。

■<総括及び判定>
否定側のデメリットが上述の理由によりすべて消されたこと、 及びかろうじてではあるが、肯定側のメリットが残った ことから、肯定側の勝利となった。
ただし、肯定側のメリットは理念を盾にしたもので、 決して具体的なものではなく、そこをついていけなかった 否定側の展開が残念であった。

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