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2016.6.18(土)
アビコ青年のディベート事件簿
File46「悪意ある情報に振り回されないために」(2016年6月18日)

ほぼ月イチコラム アビコ青年のネオ・ディベート事件簿 file 46
本日のテーマは「悪意ある情報に振り回されないために」です。

■ノルウェー産のピンクサーモンは有害?
最近、SNS等でたびたび話題になるのが養殖サーモンの記事です。
例えば、「ノルウェー産のピンクサーモンは危険な有害養殖魚!」
という告発記事です。
もしこれが本当なら、見過ごせない問題です。
以下に記事の要点を簡単に紹介します。
1)見た目で分かる、養殖と天然の違い(写真1枚目)
右のマグロのような赤身が「天然のサーモン」。
左の鮮やかピンク色の方が「養殖のサーモン」。
養殖には脂がたっぷり含まれている。
そして、この脂にはダイオキシンが含まれている。
2)ノルウェー産サーモンの有害物質の実態(写真2枚目)
養殖サーモンの餌に含まれる有害物質(※1)は、
家畜動物たちの餌と比べて10倍以上。
もしもこれが真実なら、
確かに食べるのをためらってしまいます。

■ウソを暴く(情報の裏を取ることの重要性)
しかしながら、この内容には多くの疑問点が指摘されています。
1)「見た目で分かる、養殖と天然の違い」への疑問
写真の部位、実は「ハラミ」と「尾」を比べています。
マグロでいうと大トロと尻尾の赤身。
どんな魚を比べても、お腹の方が脂は豊富です。
つまり、恣意的に印象操作をしています。
2)「ノルウェー産サーモンの有害物質の実態」への疑問
告発記事に使われているグラフ。
そもそもこれは、各食物に含まれる有害物質の量ではありません。
EUが設定する「食材ごとに見た、有害物質が含まれていても安全な上限値」です。
加えて、データの原典(※2)を見れば、サーモンの上限値は6.5 pg/gです。
ですが、写真のグラフには41.6 pg/gと記載されています。
つまり、このサーモンのグラフは明らかにねつ造されているのです。
■誰もが情報発信できる時代の「罠」
ここまで見てきた通り、一見すると正しく思える情報も、
裏を取れば本当は正しくないことはよくあります。
加えて、現代は誰もが情報発信できる時代です。
「この真実を誰かに伝えたい!」、その純粋な思いから
SNSで情報を「シェア」してしまえば、無限に拡散される恐れがあります。
特に、顔の見える人がシェアしていれば、
「信頼できるあの人が言っているのだから、きっと危険なんだろう!」
「あの有名人が言っているのだから、きっと真実に違いないはずだ!」
と、情報の受け手はあまり疑念を抱かずに信じてしまいがちです。
これは、その友人・有名人が持つエートス(信頼性)が、
悪意ある第三者に「利用」されてしまっているとも言えます。
利用―――
つまり、意図的に誤った情報を発信する人は、何らかの目的を持っています。
その意図を見抜かずに「シェア」してしまえば、
情報の拡散という形で利用されてしまうのです。

■「本質を見抜く目」が必須の時代
誰かを思う善意の気持ちが、悪意を持った第三者に利用されてしまう。
決してそんなことがあってはいけません。
では、どうすればいいのか?
それには、一人ひとりが物事の本質を見抜く目を養うほかありません。
一見するともっともらしい情報も、
鵜呑みにしないで踏みとどまってみる。
目の前にある情報とは別の視点を探ってみる。
そうすれば、ネットで検索するだけでも、
意外なほど簡単に情報が手に入ることがあります。
要は、その「一手間」を惜しまずに、
良い意味での「批判的思考」を日常に取り入れることが大切です。
その積み重ねが、ご自身はもちろん、大切な仲間をも守ることになるのです。
物事の両面を見つめる上で、ディベート思考は最適なツールです。
これからの時代、一人でも多くの方にこの武器をお届けしたい。
その思いを新たにする記事でした。
以上


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以上、アビコレポートでした。

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