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2015.10.11(日)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第37斬 「安保関連法案の是非」(2015年10月11日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第37斬 「安保関連法案の是非」

9月19日未明、安保関連法案が参議院本会議にて強行可決・成立しました。
戦後日本の安全保障政策における大転換となるのは間違いありません。
60年安保闘争の際、世間が大反対する中、
安倍首相の祖父、岸信介元首相は「50年たったらわかってもらえる」と、
日米安保条約改定を推し進めました。
9月14日の参院特別委員会で、安倍首相は、
「時が経ていく中において間違いなく理解は広がっていく」
と祖父の発言をなぞり、その心情を表現しています。
そこで、今回のコラムでは、
安保関連法案の問題点、意義について見ていきます。
■問題点
安保関連法案の肝は「集団的自衛権の行使を認める」という点。
ノーベル賞学者の益川敏英京都大学名誉教授らが発起人となった
「安全保障関連法案に反対する学者の会」は安保関連法案の危険性を、
以下のとおり訴えています。
・日本が攻撃を受けていなくても他国が攻撃を受けて、
 政府が「存立危機事態」と判断すれば武力行使が可能になる
・米軍等が行う戦争に、世界のどこへでも日本の自衛隊が出て行き、
 戦闘現場近くで「協力支援活動」を行うことができる
確かに、時の政権による判断によって、
「集団的自衛権が行使」が拡大解釈される恐れは残りそうです。
■意義
(1) 片務性の緩和
 日米安保条約は、
 「米国には日本を守る義務があるが、日本に米国を守る義務はない」
 というバランスを欠く内容になっています。
 共和党の大統領候補最右翼と言われるドナルド・トランプ氏は、
 「日本は(アメリカの軍事力に)タダ乗りしている」と、
 不満をぶつけることで、多くのアメリカ人の支持を受けています。
 安保関連法案成立で、日米安保条約の片務性を緩和することになります。
(2) 安全保障体制の向上
 日本の平和と安全は言うまでもなくアメリカの傘の下で守られてきました。
 戦争がなく平和な状態を「力の均衡」と捉えるならば、
 米軍と自衛隊の連携を高めることは、そのまま抑止力の向上につながります。
 日米同盟のアキレス腱である「集団的自衛権の行使」が、
 法的に整備されることで、より強固な日米同盟に進化したと言えます。
 
■賛成か?反対か?
上記問題点・意義を踏まえた上で私見を述べます。
私は安保関連法案に賛成の立場です。
理由は二つあります。
①文化や価値観を共有できるのはどちらか?
 「どちら?」とは言うまでもなく中国とアメリカの二択という意味です。
 おそらく90%以上の日本人がアメリカと答えることでしょう。
 日本は古来から「栄枯盛衰の理」を避けられないものと考えてきました。
 勝者が勝者で居続けられないことを知っているからこそ、
 敗者に対して寛容な態度で接する国民性を身につけたのでしょう。
 かつて世界を席巻した英国も時の流れとともに、その地位を下げました。
 アメリカもその兆候は現れています。中国も同様にいつかは衰えます。
 だからこそ、国として長く付き合うのならば、
 経済的に豊かであるとか、勢いがあるとかいう基準よりも、
 どれだけ文化や価値観を共有できるかが大切なポイントになります。
 日本のパートナーとしてふさわしい国ということでは、
 民主主義、法による支配、人権尊重という、
 基本的価値観を共有するアメリカが一番です。
②国家としての要件
 日本は敗戦から70年の長きにわたり、
 「自分で自分の国を守る」という、
 国家として当たり前の必須要件を満たすことができていません。
 「アメリカがいるからいいじゃん」と多くの人は思っているかもしれません。
 ですが、「栄枯盛衰の理」からはアメリカも逃れることはできません。
 先日、米国オバマ大統領は「世界の警察官を下りる」と発言しました。
 一方、ロシアのプーチン大統領は「ユーラシア大陸の警察官になる」、
 という意思を表明し、IS空爆について国連の承認を求めています。
 国家の安全保障は、他国任せではいけない最たるもの。
 いつまでもアメリカにおんぶに抱っこという訳にはいきません。
 永世中立国スイスはハリネズミ国家と言われるほど軍備が強い国です。
 軍隊を持たないコスタリカのような国もありますが、世界では稀です。
 奪うべき資源がない国ならともかく、
 日本には人・モノ・カネが揃いすぎています。
 戦後70年で、ようやく当たり前の法整備を終えたというところでしょう。
反対の立場の人も大勢いることでしょう。
それで良いと思います。
ネオ・ディベートが目指すところは、
賛成派・反対派でつぶしあうことではありません。
対論を比較・検証することで、
発展的なゴールに近づいていこうというアプローチです。
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