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2016.6.4(土)
第36回 「民主主義の実態とあるべき姿」(2016年6月4日)

ほぼ月イチコラム
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第36回

消費増税が延期されたのと同じ日に、杉並区で保育園建設に絡んで住民の大反対が起きたとのニュースがありました。
杉並区の公式サイトによると、保育所への入所申し込みが増えており、4月時点で待機児童は136人にのぼる。2017年4月には560名を超えると見込まれる。そのため区では緊急対策として、区立の公園や自転車集積所などを利用し、2017年4月までに新たに30カ所、2220名分の保育所を整備。待機児童ゼロを目指す方針との事です。
待機児童ゼロは政府も掲げている目標。消費税増税の先送りから、福祉政策への財源が危ぶまれる中、とても良いニュースと思ったが何故地元住民と揉めるのか?
理由は幾つかあるようですが、一番理由は建設のための用地が区の公園を1/3ほど潰して利用することのようです。
曰く、
サッカーができなくなる、
ゲートボールができなくなる、
公園が気に入って新居を近くに構えた、
など。。。
簡単な図式にすると、土地が限られている中で、子供を預けたい人と既存の公園をそのままにしたい人の利害が真正面からぶつかっている構図です。
消費税増税の延期も、国のお金が足りない現実の中で、
今の世代からお金を取るのか、将来の世代からお金を取るのか、
現在の世代とみらいの世代の利害がぶつかっている構図。
この相反する利害を調整し、多くの人に納得してもらうのが政治の役割であり、その為に安倍首相は、有識者との懇談やサミット、そして会見を通じて先送りの理由を説明してきました。(十分かどうかは別として)
一方で、杉並の問題では説明はもっぱら区の職員が行っていたようです。
彼らは業務の執行者であり、リーダーではありません。
相反する利害を調整し問題解決に導くためには組織の長によるリーダーシップが欠かせません。
この問題の背景にはリーダーシップの不足があると思います。
一方で、リーダーからの説明を受ける側にも責任があります。
多くの人が集まり社会のなかで生きていくには、必ず自分の利害が阻害されることがあり、個人の視線だけでなく公の視線で問題をとらえる必要があります。
誰でも、収入が減るのは嫌ですし、自分の子供の遊び場が狭くなるのは嫌なことですが、自分が所属する組織全体のことを考えて判断をする必要があります。
以下は、この問題に対して、小林よしのりさんがブログで書いていることです。
――
多数派の「既得権益」を守りたい住民と、保育所が死活問題の母親が戦わねばならない
ほんの数年の差で、保育所が必要な母親が、保育所は邪魔な母親に変貌する。
エゴが「公共心」を遠ざける。
それが「民主主義」というものの実態だ。
――
私たちが民主主義を望むのであれば、思慮深いリーダーと住民一人一人が公の視点を持つことがとても重要なのです。
皆さんはどう思いますか。


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