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2015.12.4(金)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第39斬 「自由化って本当に自由?」(2015年12月4日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第39斬 「自由化って本当に自由?」
今回のコラムでは、
『環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)』について取り上げます。
「もう決まったことでしょ?」
「自分にはあまり関係ないし」
とお考えの方、油断大敵です!!
是非、お考えを一度整理することをオススメ致します。
■TPPの影響
2015年12月2日付けの産経新聞の見出しに、
『新潟のコメ産出額92億円減 TPPで試算』と掲載されていました。
新潟県によると、コメの産出額が前年比6%減る試算結果が出たそうです。
理由はいくつか考えられますが、すぐ思いつく理由づけは以下のようなものです。
 Q:なぜ、新潟のコメ産出減少が起こるのか?
 A:TPP開始 → 関税自由化
       → 安い海外米の輸入
       → 高い国産米の国内生産量の減少
ここで、「ふーん」で済ませないのが、ディベート思考の大切な部分です。
「なぜ、そうなるのか?」という根本的な理由を探っていくと、
実は、”TPPが亡国の政策ではないか?”という疑念につながっていきます。
■そもそも自由化とは
一般的に、TPPは「関税の撤廃」を通じて、
「国境を越えたモノの移動をしやすくすること」を目的とする条約です。
言い換えると、『モノの自由化』ということになります。
国際関係論の専門家である北野幸伯(きたの・よしのり)氏によると、
国と国の間を移動するヒト・カネには、以下のような原理・原則があるそうです。
 原則1)ヒト →賃金の安い国から高い国に移動する
 原則2)カネ →賃金水準の高い国から安い国に移動する
少し考えると、この原則は現実に即していることが分かります。
例えば、原則1の実例を挙げると、
EUでは『国境を越えたヒトの移動を自由化』した結果、
賃金水準の低い旧東欧諸国から、多くの人が、より高い賃金を求めて、
ドイツやフランスといった西欧諸国になだれ込む現象が起きました。
また、原則2の実例を挙げると、
中国は一時期は世界の工場として、世界中からカネが集まっていました。
しかし、その地位は現在では、ミャンマーやバングラデシュといった、
より賃金水準の低い国に取って替わられようとしています。
国産米をはじめとする農作物は、これまで関税に守られてきました。
関税撤廃によって、生産拠点が日本である理由がなくなります。
新潟県の試算を支える本当の理由はここにあるのです。
■自由化の罪
日本はTPPを推進して、『モノの自由化』を進めようとしています。
さらに、安倍内閣は労働力不足を補うという大義名分のもと、
移民の大量受け入れ、つまり『ヒトの自由化』を進めようとしています。
日本における”自由化の推進”は以下の事象を引き起こします。
 事象1)ヒトが入ってくる
 →賃金水準の低い外国人労働者が日本で働き始め、賃金水準が下がります。
  文化の違いからくる日本人と外国人のトラブルが増え、治安が悪化します。
 事象2)モノを作らなくなる
 →国内で農作物を生産する理由が失われ、安い農作物との競争が激化します。
  結果として、国内農家が減少し、さらに食糧自給率が低下します。
 事象3)カネが失われる
 →企業は海外拠点を作る動きを加速させます。国内雇用が減り、国内消費が減ります。
  さらには離職率が高まり、失業保険の負担が増えます。
いかがでしょうか? 
TPPを亡国の政策ではないかと疑う理由がおわかり頂けたと思います。
自由化の推進によって、日本人は自由をどんどん奪われていくのです。
「職業選択の容易さ」や「タダで享受してきた安全」など、
さまざまな既得権益を失うことになりそうです。。。

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